
2007/11/12
最近の親御さんを見ていて思うのは、とにかくわが子のことに「気がつきすぎる」こと。「あ、転びそう」と思うと手を出して支え、子どもがコップに牛乳を注ぐのも手助けし、忘れ物をしたら学校まで届けてやり、宿題の間違いをチェックしてやり直させ、夏休みの自由研究もマンツーマンで指導する…つまり、子どもが失敗しないように、常に先回りして口を出し、手を出すお母さんがとても多いんです。
確かに、子どもが失敗してがっくりしている姿を見るのは、心が痛むもの。忘れ物をしたり、自由研究のできが悪かったりして学校で恥ずかしい思いをしたらかわいそうだから…と、つい手を出したくなる気持ちもわかります。でも、ここが親としてのふんばりどころ。というのも、「失敗する」ことは、子どもの成長につながる大切なステップだからです。一度失敗して「できない! 悔しい!」とか「あーあ、やっちゃった…」という気持ちを味わい、それを乗り越えようとするところで、子どもはぐんと成長します。子どもに「失敗させない」のは、一見子どものためになるようでいて、実は子どもが成長するチャンスを奪っていることになるんです。
そもそも、子どもは失敗するのが当たり前ですから、失敗を怖がったりしないものです。ところが、小さいころから親に手取り足取りリードされ、失敗を知らないままで大きくなった子どもは、失敗するのが怖いので、新しいことには尻込みしがちです。また、打たれ弱く、ささいな失敗で大きなダメージを受けてしまいます。 一方、たくさん失敗をしている子は、「失敗なんて当たり前」ですから、どんどん新しいことにチャレンジしますし、たとえ失敗してもくよくよしたり落ち込んだりしません。自分の意志でどんどん決断することができますから、リーダーシップも満点です。どちらの人生が子どもにとって楽しいかは、言うまでもありませんよね。失敗は、子どもにとって学びの原点であり、生きる力を身につけるためになくてはならない経験なのです。
お母さんたちはよく言います。「チャレンジ精神のある子になってほしい」「自分の意見を言える子になってほしい」と。それなら、まずは「失敗させる」ことです。もちろん、子どもの失敗をいちいちとがめたり、「だから言ったじゃないの!」とことさらに強調したりもNG。そうは言っても、ついつい叱っちゃう…というかたには、とっておきのテクニックを伝授! それは、子どもが何かをやらかしたときは、叱る前にまず写真を撮ること。たいていの場合、撮っているうちに「まあいいか」という気持ちになれます。そのうち、台所の米を床にばらまかれたり、揚げ立てのコロッケをお風呂に入れられたりしても(わが家の実話です)、「これはネタになる」とポジティブに受け止められるようになりますよ。
また、親が失敗する姿を隠さないことも大事です。最近のお母さんたちは、「いい母親でなくてはならない」「子どもはきちんと育てなくてはならない」という思い込みにとらわれているようです。でも、母親というのは、完璧でなくていい。ちょっと頼りなくて間抜けで、ときどき失敗もするくらいがちょうどいいんです。 そのいい例が、「クレヨンしんちゃん」に登場するしんちゃんの母親、みさえ。彼女は「失敗する自分」を隠したりごまかしたりしません。例えば、朝、寝坊してしまったとき、みさえは決して「大人はいいの」とか、「疲れてたからしょうがないでしょ」などと言い繕ったりごまかしたりしません。素直に「ごめんね」とあやまり、そのうえで「明日は寝坊しないようにするから」と約束します。こういう母親の姿を見れば、子どもは「失敗は悪いことじゃないんだ」「失敗しても、また次にがんばればいいんだ」と思うでしょう。 みさえは、ドジでちょっと間抜けで、およそ完璧な母親とは言いがたい人物です。でも、そのほうが子どもは「自分がしっかりしなくちゃ」と思うものです。みなさんもみさえを見習って、ちょっと肩の力を抜いてみてください。きっと子どもとの暮らしがもっと楽しくなりますよ。
徳田克己(とくだかつみ)