
2008/01/15
私は、大学院で保育を勉強しながら、小児科クリニックの看護師として働いています。
小さいお子さんがいらっしゃると、風邪をひいた、予防接種などと何かと小児科に行く機会が多いかと思います。しかし、子どもにとっては病院=怖いところかもしれません。病院で泣き叫ぶ子や、その子をなだめようと焦るお母さん。子どもの泣き声にさえぎられて、うまく医師と話せずに疑問が残った顔のまま診察室を後にするお母さん・・・小児科のクリニックではこんな光景を見かけることが多々あります。
小児科でスムーズに診察を受けるにはどうしたらいいか? お子さんも、ご家族も、医療者も満足できる診察にするためには、どのようにしたらいいのでしょうか。
診察の時に困るのが泣き声です。お子さんが泣いていると、呼吸音や心音が聞こえなくなります。保護者の方からお子さんの様子を聞こうと思っても、泣き声でかき消されてしまうこともあります。これでは治療に必要な正しい情報が取れなくなってしまいます。具合の悪い中、病院に来ているのに正確な情報が取れないと、お医者さんも診断の手がかりを失うことになりかねません。
泣かせないための工夫としては・・・
●かかりつけのお医者さんにかかること:慣れない場所に行けば誰でも不安になってしまいます。何度も行ったことのある病院、何度も会ったことのあるお医者さんなら不安も少なくなるはず。お医者さんもその子の特徴をわかって接することができます。
●お子さんに何をするのか前もって話しておくこと:「今日は○○先生に会って、お腹と背中、もしもしするよ」「病院でお口の中を先生に見てもらうよ」など話しておくことで、少しでも不安を取り除きます。子どもに言ってもわからない、などと思わずに話してみてください。「わかった」と落ち着いてくれる子って意外に多いです。何をするのかわからなければ、待合室で待っているときに看護師さんに聞いてみるのもいいと思います。
●脱ぎ着しやすい服装で行くこと:イライラ不機嫌なとき、不安なときに、服を脱がせようとすると泣き出してしまうお子さん(特に赤ちゃん)が多い!と感じます。診察のときのためにも脱ぎ着しやすい服装が便利です。
●注射のときには:大人のお話がわかるお子さん(2歳以降くらい)であれば、「消毒をして腕をきれいにするけど、スーってしてちょっと冷たいよ。」「ちょっとだけチクっとするけど、すぐに終わるよ。」「○○ちゃんは、じっとしていてね。」と、これから行うこと、子どもに協力してほしいこと(動かないこと)を伝えることで安心できます。注射をする直前に注射器を見つけて、泣いて暴れてしまうといった事態にならないよう、タイミングを見計らって注射をすることを伝えると良いと思います。
ただ、どんな年齢のお子さんにとっても、お父さん、お母さんが側にいることで安心することができ、がんばることができます。お父さん、お母さんの役割は、まず側にいてあげること。「じっとしていなさい」「泣かないの!」など決して叱らないこと。そして、がんばって注射を受けることができたら、そのがんばりをほめてあげることです。シールなどの、ちょっとしたごほうびをあげることでも「注射なんて大嫌い」という注射に対する嫌な気持ちが減ることにつながります。
安全に診察、治療を受けてもらうために、注射など動くと危ないときや、動いて診察ができなくなってしまうときには、安全確保のために看護師やお母さんがお子さんを固定(押さえてもらうこと)しなければなりません。これはお母さん、医療者にとって、そして何よりお子さんにとって苦痛なことです。安全に診察や治療を行うためにどうしても固定が必要なときは「押さえつけてしまってかわいそう」と思わず、しっかり固定して診察や治療ができるだけ短時間で終わるように、ご協力ください。
お子さんにとっては痛みが長く続くことの方が“かわいそう”なことです
病院では必ず「どうしましたか?」と病院に来た理由を聞かれると思います。そのときに、お子さんの様子をまとめて伝えてもらうと、医療者は非常に助かります。思いついたまま話されると、どれが重要な症状なのか、何を診てほしくて受診したのかがうまく伝わりません。正確な診断をするためには正確な情報が必要です。いつから、どんな症状があるのか、一番心配なのはどの症状なのか、整理して話してみてください。うまく伝えにくい場合は、症状をメモしていくのも良い方法だと思います。
また、仕事をされているお父さん、お母さんの代わりに、おじいちゃん、おばあちゃんがお子さんを病院に連れてこられることもあるのですが、「この子のお母さんに頼まれて連れてきただけだから、よくわからないんです。風邪みたいなんだけど・・・」と言われると困ってしまいます。子どもは大人のように自分の症状を言葉で伝えられません。子どものことをよくわかっている人と来院してもらうのが一番なのですが、どうしても無理なときに、お母さんが書いたメモを持ってきてくださる方がいます。いつからどんな症状があるのか、医師も看護師も一目でわかるので非常に役立ちます。お薬手帳をお持ちであれば、そちらも重要な情報になります。
こんな些細なことで病院に行ってもいいのかな、と思うことはありませんか。多くの小児科医は「お父さん、お母さんの不安を共有して解決することも医療者の仕事のひとつ。心配だと思ったらいつでも病院に行けばいい。」と言っています。決してむやみに病院に行けばいいということではありませんが、大事なお子さんのことで不安があれば、いっしょに解決していくのも医療者の大事な役割です。このようにポイントを押さえて受診すれば、お医者さんや看護師さんといっしょに不安を解決していくことができるでしょう。
西村実穂(にしむらみほ)