
千秋さんをはじめ、4人のお子さんを育て上げたお母さんは、今年83歳とは思えないほどバイタリティにあふれてチャーミング。自分の店を忙しく経営しながらもきっちりと筋の通った子育ては、今の時代だからこそ参考になることがいっぱいです。『向井千秋記念子ども科学館』がある館林市内のご実家で、終始ほがらかな笑い声が響くインタビューとなりました。(全5回)
2008/02/29
千秋は小さい時からピアノが好きで、自分からやりたいと言って始めたんです。ある時、なかなか思うように弾けなくて先生にぴしゃりと何度も手を叩かれたらしいんですよ。それでも我慢して弾いて、泣きながら帰ったから先生が心配しちゃって。だけど千秋はその辺できれいに涙をふき、いつも通りににこにこして戻って、うちでは何も言わなかったの。ピアノは今でも大好きで、医者にならなかったらピアノを続けていたかもしれないっていうくらい。今でもうちにくると「ピアノちゃんしばらくね」、帰る時には「ピアノちゃんまた来るね」って、ピアノに声をかけるんですよ。
▲千秋さんが自分のお小遣いで買い集めた『少年少女世界の名作文学』
本も好きで、しょっちゅう眺めていました。私は農家に生まれて貧乏だったから本なんて買ってもらったことないでしょ、千秋に「自分の年にふさわしい本を買いなさい」って言ったらじっと考えて、一日20円のお小遣いを毎日ためて、子ども向けの文学全集を買ったのを覚えています。そういえば、千秋が小学3年生の時に親戚の人がお土産で顕微鏡をくれたんですよ。それからはかえるを捕まえてきて解剖するのも好きだったみたい。
昔はそんなにおもちゃなんか買ってやらないですからね。子どもはみんな外に出て、天神様でよく縄跳びや石蹴りをしていましたよ。なぜだか千秋は勉強ができる子っていうのはあんまり呼んでこないのね。私は貧乏でいじめられたことが身にしみているから、4人には「絶対人をいじめるんじゃないよ」っていつも言っていたの。
そうしたら、勉強が苦手な子を集めて、ままごとしながら勉強を教えたり、ピアノを弾いて歌わせてみたり。自分でもこの間「人に教えるのが好きな性格でよかった」って言っていましたよ。今私の顔を見ると、私が昔言っていたようなことを言うの。「人を喜ばせるのは簡単なんだよ、自分がしてもらってうれしいことを人にしてあげればいいんですよ」って。
向井千秋さん